去年の秋、紅葉を見に行く日を早めに決めてしまい、着いた山がまだほとんど緑だったことがあります。「今年は遅いね」と話しながら、帰りのバスで検索したら、見頃は2週間後でした。
毎年のように「今年は遅い」と言っている気がしますが、そもそも葉っぱはどうして赤や黄色になるのか。紅葉のしくみを7つの話で。

1. 黄色は、最初から葉の中にあった
イチョウなどの黄色は、カロテノイドという色素の色です。この色素は、実は夏のあいだも葉の中にありました。ただ、緑色の葉緑素(クロロフィル)の量がずっと多いので、隠れて見えなかっただけ。
秋になって葉緑素が分解されると、隠れていた黄色が表に出てくる。黄葉は「色が変わる」というより、「色がばれる」現象なのです。
2. 赤は、秋になってから新しくつくられる
一方、カエデなどの赤はアントシアニンという色素の色です。こちらは夏の葉にはほとんどなく、秋になってから葉の中で新しくつくられます。
葉が落ちる準備を始めると、葉と枝のあいだに「離層」という仕切りができ、糖分が葉にたまります。その糖分と日光からアントシアニンが生まれる。赤は、木が最後にもう一仕事して出す色なのです。
3. 茶色になる葉もある
ケヤキやブナのように、赤でも黄色でもなく茶色に色づく木もあります。これはタンニン系の色素によるものとされています。
同じ山でも、赤・黄・茶の木が混ざることで、あの複雑な色合いができあがります。赤だけの山より、混ざっている山のほうが美しいと感じるのは、そのせいかもしれません。
4. 色づきは「最低気温8℃」がひとつの目安
紅葉が始まる目安としてよく言われるのが、朝の最低気温が8℃を下回るころ。さらに5〜6℃以下になると、一気に色づきが進むとされています。
もうひとつ大事なのが昼と夜の寒暖差。昼はよく晴れて光合成が進み、夜はぐっと冷える。こういう日が続くと、アントシアニンがたくさんつくられて赤が鮮やかになります。適度な湿り気も必要で、乾燥しすぎると葉が色づく前に枯れてしまいます。

5. 「もみじ」と「かえで」は、同じ仲間
「もみじ」と「かえで」はどう違うのか。植物の分類としては、どちらもカエデ属で区別はありません。
園芸の世界では、葉の切れ込みが深いものを「もみじ」、浅いものを「かえで」と呼び分けることが多いようです。「もみじ」は、秋に草木が色づくことを表す「もみつ」という古い言葉から来ているとされ、もともとは紅葉そのものを指す言葉でした。
6. 気象庁は「標本木」で紅葉を観測している
桜の開花と同じように、紅葉も気象庁が観測しています。対象はイロハカエデの紅葉とイチョウの黄葉で、各地の気象台が決めた標本木を見て、「紅葉日」や「黄葉日」を記録します。
全体が色づいた日が紅葉日、というのが大まかな基準です。長年の記録を見ると、紅葉日は昔より遅くなる傾向にあり、秋の気温の上昇と関係していると考えられています。
7. 2026年の見頃は、全国的に遅め
ウェザーニューズの予想では、今年は秋の高温傾向により、全国的に見頃は平年より遅いか、やや遅い見込みです。たとえば東京の高尾山は11月22日ごろ、京都の嵐山は11月24日ごろとされています(9月初旬時点の予想)。
一方で、北海道や東北の山ではすでに色づきが始まっています。見頃は「北から南へ、山から里へ」下りてくるので、10月は山、11月は街、と行き先を変えれば長く楽しめます。予想は更新されるので、出かける前には最新の情報を確認してください。
まとめ:赤い葉は、木の最後の一仕事
黄色は隠れていた色、赤は新しくつくられる色。同じ「紅葉」でも、しくみはまったく違いました。昼の晴天と夜の冷え込み、その両方がそろった年ほど、山は鮮やかになります。
今年は少し遅めのスタート。去年の私のように早まらず、見頃の情報を見ながら計画を立ててください。
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