子どものころ、「豆腐」という字を見て「豆が腐ってるの?」と親に聞いたことがあります。返ってきたのは「腐ってたら食べないでしょ」という、答えになっていない答え。その疑問は、大人になるまで宙に浮いたままでした。
今日10月2日は、「とう(10)ふ(2)」の語呂合わせで豆腐の日。日本豆腐協会が1993年に制定しました。毎日のように食べているのに意外と知らない、豆腐の話を7つ。

1. 「腐」は、腐っているという意味ではない
まずは子どものころの疑問から。中国語の「腐」には、ぶよぶよとやわらかく固まったものという意味があるとされています。豆腐は、豆からつくったやわらかい固まり、というわけです。
それでも字面が気になる人はいたようで、「豆富」と書き換えて使うお店もあります。縁起を気にする料理屋さんらしい工夫です。
2. 日本の記録に初めて出てくるのは平安時代の終わり
豆腐は中国から伝わった食べ物です。日本の文献に登場するのは、1183年の奈良・春日大社の記録に出てくる「唐符(とうふ)」が最初とされています。
はじめはお寺の精進料理として、僧侶のあいだで広まりました。肉や魚を食べない僧侶にとって、豆腐は貴重なたんぱく源だったのです。
3. 江戸時代には、豆腐料理100品のレシピ本がヒットした
江戸時代になると、豆腐は庶民の食べ物になります。1782年には、豆腐料理を100品集めた『豆腐百珍』という料理本が出版され、続編が出るほどのベストセラーになりました。
田楽、湯豆腐、揚げ出し豆腐。今の家庭料理の多くが、すでに江戸の料理本に載っていることを思うと、豆腐は何百年も同じ形で愛されてきたのだと分かります。
4. 絹ごし豆腐は、絹でこしていない
名前から、布でこしてなめらかにしているように思えますが、実際は逆です。絹ごし豆腐は、濃いめの豆乳をそのまま型の中で固めたもの。こしていないから、なめらかなのです。
一方の木綿豆腐は、いったん固めたものを崩して、布を敷いた型に入れて水を切ります。表面に布目がつくので「木綿」。水分が抜けるぶん、たんぱく質やカルシウムは木綿のほうが多めです。

5. 豆乳を固める「にがり」の正体
豆乳を豆腐に変えるのが凝固剤です。代表的なのが、海水から塩をつくるときに残る「にがり」で、主成分は塩化マグネシウム。ほかに、硫酸カルシウム(すまし粉)なども使われます。
にがりで固めた豆腐は大豆の甘みが出やすいと言われ、パッケージに「にがり使用」と書いてある商品も多くあります。食べ比べると、意外と違いが分かります。
6. 豆腐は「1丁、2丁」と数える
豆腐の数え方は「丁」。ただし1丁の大きさに決まりはなく、地域によってかなり違います。沖縄の島豆腐は1丁が1kg近くあることもあり、本土の感覚で買うと驚く大きさです。
スーパーの豆腐が300〜400gほどなのに対し、昔ながらの豆腐屋さんの1丁はもっと大きいことも。「1丁ください」の中身は、お店ごとに違うと思っておくといいかもしれません。
7. 開けたら、水に浸して早めに
豆腐は水分が多く、傷みやすい食べ物です。開封して余った豆腐は、保存容器に入れてかぶるくらいの水を張り、冷蔵庫へ。水は毎日取り替えて、2日ほどで食べきるのが目安です。
ちなみに豆腐を冷凍すると、水分が抜けてスポンジのような食感に変わります。これは失敗ではなく、高野豆腐(凍み豆腐)と同じ原理。味がしみやすくなるので、煮物に使うとおいしいです。
まとめ:地味なのに、話題が尽きない食べ物
「腐」の字の意味、平安時代の記録、江戸のレシピ本、絹ごしの誤解。豆腐は毎日のように食卓に並ぶ地味な食材ですが、掘ってみると話題が尽きません。
今夜は冷ややっこでも湯豆腐でも。木綿と絹ごし、両方買って食べ比べてみるのもおすすめです。
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