初めて御朱印をいただいたとき、書き手の方の筆が止まるまで、窓口の前で妙に緊張していました。受け取った帳面を開くと、墨の文字の上に朱色の印。「これ、何が書いてあるんだろう」と思いながら、読めないまま大事に鞄にしまったのを覚えています。
今日9月27日は、国連の専門機関UN Tourism(旧・国連世界観光機関)が定めた「世界観光の日」。旅の楽しみとしてすっかり定着した御朱印の話を7つ。

1. もともとは「お経を納めた受け取り」だった
御朱印のルーツは、寺に写経を納めたときにいただく「納経印(のうきょういん)」だとされています。今でも四国八十八ヶ所などの札所では、御朱印帳のことを「納経帳」と呼びます。
それがいつしか写経を納めなくても、参拝の証としていただけるものに変わっていきました。領収書が記念品になった、と言うと身もふたもありませんが、成り立ちとしてはそれに近いものです。
2. 墨の文字と朱印には、それぞれ意味がある
一般的な御朱印は、墨書きと朱印の組み合わせでできています。お寺なら中央にご本尊の名前や寺院名、神社なら神社名。右上に「奉拝(ほうはい)」=つつしんでお参りしました、左下に参拝した日付が入ることが多いです。
朱印は寺社の印章で、寺紋や神紋が押されることもあります。読めなくても、「奉拝」「日付」「寺社名」の3か所を探すと、どこで何をいただいたのかがだいたい分かります。
3. 先に参拝、御朱印はそのあと
いちばん大事なマナーはこれです。御朱印は参拝の証なので、本殿や本堂にお参りしてから授与所に向かうのが基本。混雑している日は、先に帳面を預けて参拝し、帰りに受け取るよう案内されることもあります。
お納めする金額は300〜500円ほどが目安ですが、近年は500円以上のところも増えています。「代金」ではなく「初穂料」「納経料」という扱いなので、小銭を用意しておくと窓口がスムーズです。
4. 寺と神社で帳面を分けるかは、意見が分かれる
よく聞かれるのが「お寺と神社の御朱印を1冊にまとめていいのか」という問題。分けなくても問題ないとする寺社が多い一方で、まれに他宗派や神社の御朱印が並んだ帳面への記帳を控えるところもあります。
迷ったら、寺用・神社用で2冊持つのがいちばん気楽です。帳面自体を授与している寺社も多いので、旅先で「最初の1ページ」をそこで始めるのも良い記念になります。

5. 「書き置き」と「直書き」の違い
御朱印には、帳面に直接書いていただく「直書き」と、あらかじめ和紙に書かれたものを受け取る「書き置き」があります。書き手が不在の日や混雑日、限定御朱印などは書き置きのみのことも。
書き置きは、のりで帳面に貼っておくのが一般的です。家に帰ってから貼ろうとして、そのまま鞄の底で折れ曲がる。これは多くの人が一度はやる失敗なので、クリアファイルを1枚持っていくと安心です。
6. 限定御朱印の「転売」は、寺社が困っている
季節限定の図柄や、切り絵・刺繍の御朱印は人気が高く、SNSで話題になるとすぐ行列ができます。その一方で、フリマサイトでの転売が問題になり、授与を中止した寺社もあります。
御朱印は、その場所にお参りした人がいただく「縁の記録」です。お金で手に入るものになってしまうと、成り立ちからして意味がなくなってしまう。行けなかった御朱印は、行ける日まで取っておく。それくらいの距離感がちょうどいいと思います。
7. 御朱印帳は、旅の日記になる
御朱印には必ず日付が入るので、帳面をめくるといつ、どこへ行ったかが自然と並びます。数年たって見返すと、「この年は京都に2回行っていた」「この日は雨だった」と、写真よりも鮮明に思い出すことがあります。
集めることが目的になると、1日に何か所も回りたくなります。でも、1か所ごとにきちんとお参りして、境内を少し歩く。そのほうが、あとで帳面を開いたときの思い出が濃くなります。
まとめ:スタンプラリーではなく、参拝の記録
御朱印は、観光地をめぐる楽しみとしてとても良くできた仕組みです。ただ、その根っこにあるのは「お参りしました」という記録。先に参拝する、転売に手を出さない、書き置きは早めに貼る。これだけ守れば、帳面は一生ものの旅日記になります。
世界観光の日の今日、近所の神社から1ページ目を始めてみるのもいいかもしれません。
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