【スポーツの判定はどこまでAIに任せられるか7選】まばたき0.1秒で、ボールは5m進む

スポーツの判定とAI 7選 雑学コラム

草トーナメントの決勝、マッチポイント。相手のサーブがラインぎりぎりに落ちて、こちらは反射的に「アウト!」と叫びました。相手は「いや入ってた」。数秒の沈黙のあと、私は「……じゃあ、もう一本で」と言いました。あの気まずさを味わったことがある人は、たぶん少なくありません

プロの世界では、この問題はもう機械が引き受けています。今日は、スポーツの判定とAIの話を7つ。最後に、草の試合にもそれが降りてきた話をします。

テニスコートに置かれたラケットとボール
写真: Unsplash

1. まばたきの0.1秒で、ボールは5m進む

まず前提として、人間の目はそこまで速いものを見られません。時速200kmのサーブは、1秒に約55m進みます。人のまばたきは0.1〜0.15秒ほどなので、まばたき1回のあいだにボールは5〜8m移動していることになります。

線審が見ているのは、実際には「ボールが落ちた瞬間」ではなく、そのわずか前後の像です。数ミリの判定を人間の目に求めるのは、もともと少し酷な話でした。判定でもめるのは、性格の問題ではなく光学の問題だったわけです。

2. ホークアイは、見ているのではなく計算している

テニスなどで使われる軌道判定システムは、コートの周囲に置いた複数台の高速カメラでボールを追い、三次元の軌道を再構成します。そしてバウンドの跡を「計算で描く」。テレビで見るあのCGは、撮った映像ではなく再現図です。

誤差はミリ単位とされ、2006年ごろから主要大会で使われてきました。おもしろいのは、あの映像が観客のためのショーとしてもよくできていること。ゆっくり回転して、跡が出る。あれで場内が沸くのですから、判定システムとしては満点です。

3. 線審のいない大会が、増えている

近年は、チャレンジ(異議申し立て)ではなく、最初から電子判定で運用する大会が増えました。線審が並んでいないコートを見て、最初は少し寂しい気持ちになったのですが、慣れると気になりません。

失われたものもあります。線審の独特な声、選手が振り返って睨む場面、そして「チャレンジ成功で場内が沸く」あの間。正確さと引き換えに、ドラマが少し減ったのは確かです。ただ、それを言い出すと誤審の被害者はいつも黙って負けていたわけで、やはり公平のほうが大事だとは思います。

4. サッカーは、ゴールラインから始まった

サッカーの判定支援は、ボールがゴールラインを完全に越えたかを判定するゴールラインテクノロジーから本格化しました。その後VARが導入され、2022年のワールドカップでは半自動オフサイド判定が使われています。

半自動オフサイドは、選手の関節位置とボールの位置をセンサーとカメラで追い、越えた瞬間を自動で検出する仕組み。「肩の先が数センチ出ていた」でゴールが消える時代になりました。正しいのですが、あの数センチで喜怒哀楽が反転するのを見ていると、複雑な気持ちにもなります。

テニスコートに落ちる葉の影
写真: Unsplash

5. 野球のストライクゾーンは、人によって違っていた

野球ファンなら誰でも知っていることですが、球審によってゾーンは微妙に違います。低めが広い人、外角に甘い人。選手は試合の序盤で「今日のゾーン」を探る、というのが常識でした。

それを機械で判定する自動ボール・ストライク判定(ABS)の導入が各国で進んでいます。全球を機械に任せる方式のほか、判定に不服なら選手が1試合数回だけ機械にチャレンジできるという折衷案が有力になりつつあります。人間の判定を基本としつつ、明らかな間違いだけ拾う。落としどころとして、なかなか賢い設計だと思います。

6. 全部を機械にすると、面白くなくなるのか

「判定でもめるのもスポーツのうち」という意見は根強くあります。私も、ちょっとだけ分かります。あの言い合いを含めて記憶に残っている試合が、確かにあるからです。

ただ、当事者になると話は別で、誤審で負けた側は一生それを覚えている。そして、もめている時間はだいたい面白くない。落としどころは「機械が判定し、人間が運営する」あたりでしょう。審判の仕事は、判定から進行と統率へ移っていくのだと思います。

7. そして、草の試合にも判定が降りてきた

ここまでの話は、すべて大きな大会の設備の話でした。カメラを何台も並べる予算は、市民大会にはありません。

ところが最近は、スマホで撮った動画をアップロードするだけで判定してくれるものが出てきました。ファービヨンドのテニスラインジャッジAIは、まさにそれです。録画した試合動画をブラウザに投げると、全フレームのボールを追跡して、バウンド位置とIN/OUTを自動でレポートしてくれます。ダブルス・シングルス・サーブの3モード、登録不要で無料。

冒頭の「もう一本で」問題が、これで解決するかというと、正直まだ微妙です。試合中にその場で判定は出ませんから。ただ、試合のあとに「やっぱり入ってたね」と確認できるだけで、練習仲間との会話はだいぶ平和になります。あと、自分のフォームも一緒に見返せるので、反省材料は増えます。増えすぎて落ち込むこともあります。

まとめ:機械は、揉める時間を減らすためにある

判定機器の目的は、勝者を決めることではなく、納得できないまま終わる試合を減らすことだと思っています。正確さそのものより、その先の後味の話です。

週末にテニスをする予定がある方は、スマホを三脚に立てて一試合撮ってみてください。判定はもちろん、自分のセカンドサーブが思っていたより山なりだったという、見たくなかった事実にも出会えます。

ファービヨンドのアプリ紹介

今日の話に出てきたサービスと、あわせて使うと便利なアプリを紹介します。

テニスラインジャッジAI

テニスラインジャッジAIのアイコンとアプリ画面

録画した試合動画をブラウザに投げるだけで、AIが全フレームのボールを追跡し、バウンド位置とIN/OUTを自動レポートします。登録不要・無料。

使い方は3ステップ

  1. スマホなどで試合を録画しておく
  2. ブラウザで動画をアップロード(シングルス/ダブルス/サーブのモードを選択)
  3. 数分後、ボール軌跡とIN/OUT判定のレポートを確認

Web版

病院 情報共有マップくん

病院 情報共有マップくんのアイコンとアプリ画面

近くの医療機関をクチコミ付きで探せる地図アプリ。旅先や出張先で体調を崩したときに効きます。

使い方は3ステップ

  1. 現在地のまわりの医療機関を地図で表示
  2. 診療科・診療時間・クチコミを確認
  3. 受診した病院の情報を共有して、次の人の助けに

iOSアプリ / Androidアプリ / Web版

銭湯・温泉・サウナ情報共有マップくん

銭湯・温泉情報共有マップくんのアイコンとアプリ画面

銭湯・スーパー銭湯・日帰り温泉を地図で探せるアプリ。サウナや水風呂の情報も、使う人同士で持ち寄っています。

使い方は3ステップ

  1. 地図で、いまいる場所の近くのお風呂を表示
  2. ピンから営業時間・設備・サウナの有無をチェック
  3. 行った施設の情報を追加すると、地図が少し賢くなります

iOSアプリ / Androidアプリ / Web版

「情報共有マップくん」は、合同会社ファービヨンドが運営する、みんなで場所の情報を持ち寄る地図アプリのシリーズです。ふだんから使い慣れておくことが、いざという時のいちばんの備えになります。

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