8月31日は「野菜の日」です。理由は語呂合わせで、や(8)さ(3)い(1)。1980年代に青果関係の団体が制定したとされています。ずいぶんストレートな決め方ですが、この時期に置かれているのは、じつはよくできています。夏野菜が終わりに向かい、秋野菜が出はじめる、ちょうど境目だからです。
まだ暑い。でも体はけっこう疲れている。そんな8月31日に、野菜の話を7つ。

野菜が足りないと思って青汁を箱買いしたことがあります。飲んだのは3日で、残りは棚の奥で静かに賞味期限を迎えました。味噌汁の具をもう一種類増やすほうが、私の場合は10倍続きます。
1. 「1日350g」は、小鉢にすると5皿
厚生労働省が目標にしている野菜の摂取量は、大人1日あたり350g。数字だけ見るとピンときませんが、小鉢に盛った野菜料理でだいたい70gなので、1日5皿と考えると急に現実的になります。
実際の日本人の平均摂取量は270〜280g前後で推移していて、目標には70gほど足りていません。この70gは、トマト半分、あるいはほうれん草のおひたし1皿分。「あと1皿」で埋まる差だと思うと、少し気が楽になります。
2. 夏バテの正体は、水分よりミネラルとビタミンB1
夏に体がだるくなる原因を「水分不足」だけで説明すると、少し足りません。汗と一緒に出ていくのはナトリウムやカリウムなどのミネラルで、さらに、糖質をエネルギーに変えるのに必要なビタミンB1も消耗します。
そこにそうめん、冷やし中華、アイス……と糖質中心の食事が続くと、B1が足りないまま糖質だけが入ってくる。だるさが抜けないのは、ここが効いていることが多い。B1が多いのは豚肉、枝豆、大豆製品。そうめんに豚しゃぶと薬味をのせるだけで、献立としてはかなり変わります。
3. 夏野菜が「体を冷やす」のは、成分の話でもある
きゅうり、なす、トマト、すいか。夏野菜は水分が多く、きゅうりに至っては約95%が水分です。加えてカリウムを多く含み、余分なナトリウムの排出を助けます。
昔から「夏野菜は体を冷やす」と言われるのは、迷信というより、水分とカリウムで熱がこもりにくくなるという実利の話。ただし冷やしすぎは逆効果で、冷たいものばかりだと胃腸の働きが落ちます。冷たい飲み物と、常温か温かい野菜料理を1対1で組むくらいが、この時期にはちょうどいいバランスです。
4. ほうれん草のビタミンCは、夏と冬で3倍違う
旬という言葉は情緒的に聞こえますが、栄養の数字にもはっきり出ます。食品成分表では、ほうれん草のビタミンCは夏採りが100gあたり20mg、冬採りは60mg。同じ野菜、同じ量で3倍の差です。
つまり「安いから買う」は、そのまま「栄養が多いから買う」でもある。旬のものは供給が増えて値段が下がるので、価格と栄養が同じ方向を向いてくれる、めずらしく素直な世界です。
5. 冷蔵庫が野菜をまずくすることがある
なす、きゅうり、トマト、さつまいも。このあたりは低温に弱く、冷蔵庫に長く入れておくと表面がへこんだり、種のまわりが茶色くなったりします。いわゆる低温障害です。
目安として、夏野菜と芋類は野菜室か常温、葉物は冷蔵室。きゅうりやなすは新聞紙かキッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、へたを上にして立てて置くと持ちがよくなります。トマトは完熟前なら常温で追熟させてから冷やすと、味が乗ります。

6. 加熱するか、生で食べるか
「生のほうが栄養がある」と思われがちですが、成分によります。トマトのリコピンは加熱して油と一緒にとると吸収されやすくなりますし、にんじんのβ-カロテンも油と相性がいい。逆にビタミンCは水に溶けて熱に弱いので、こちらは生かスープごと。
難しく考えるなら、これだけ覚えておけば十分です。色の濃い野菜は油と加熱、色の薄い野菜と葉物は生かスープ。あとは冷蔵庫の中身に従えば、たいてい正解です。
7. 9月は端境期。秋へのバトンタッチが始まる
8月末から9月にかけては、夏野菜が終わり、秋の野菜がまだ本格化しない「端境期(はざかいき)」。市場に出る量が減るぶん、値段が上がりやすい時期でもあります。
この時期の買い物は、無理に旬を追わず、きのこ類やもやし、豆腐など価格が安定している食材に頼るのが現実的。そして9月半ばを過ぎると、さつまいも、里芋、かぼちゃ、れんこんが顔を出しはじめます。かぼちゃは追熟すると甘みが増すので、夏に採れたものが今ごろおいしくなる、という時間差もおもしろいところです。
まとめ:今日の「あと1皿」でいい
350gを完璧に守ろうとすると、たいてい三日で挫折します。目標は「あと1皿」。冷奴に薬味を足す、味噌汁の具を2種類にする、それくらいで70gは埋まります。
残暑はまだ続きます。冷たいものだけで乗り切ろうとせず、温かい汁物に野菜を放り込む日をつくってみてください。9月の体調が、けっこう変わります。
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