宮沢賢治の物語にも息づく日本一深い立ち湯
鉛温泉(岩手県花巻市)|藤三旅館
岩手県花巻市の山あいに湧く鉛温泉は、約600年前に開湯したと伝わる歴史ある湯です。江戸時代の1786年(天明6年)には温泉宿としての歩みを始め、現在の藤三旅館へと受け継がれてきました。
「鉛」(なまり)という名が付いていますが、湯に鉛成分は含まれていません。かつてこの地で金が産出された際、年貢が重くなるのを恐れた村人が「鉛」と偽って報告したことが地名の由来とされ、温泉名にも残ったのだそう。少し可笑しく、人の暮らしが透けて見えるエピソードです。

名物「白猿の湯」──底から湧く、日本一の立ち湯
藤三旅館の発祥の湯が「白猿(しろざる)の湯」。扉を開けると、小判型の浴槽が眼下に広がり、湯口のない浴槽の底から新鮮な源泉が直接湧き上がっています。
浴槽の深さは平均約125cm、最深部は約140cm。全国的にも珍しい立ち湯で、日本一深い湯とも言われています。透明度の高い湯は足元まで澄み、泉温は体温に近い約39度。全身に均等な湯圧がかかり、静かに芯から温まっていく感覚が味わえます。

文学に愛された湯
この湯は多くの作家にも親しまれてきました。小説家・田宮虎彦は長期滞在ののち、鉛温泉を舞台にした『銀心中』を執筆。
また、宮沢賢治もこの地と縁が深く、童話なめとこ山の熊の中で「鉛の湯」が描かれています。物語と現実が重なり合う、花巻らしい温泉です。
下記の写真は昭和初期を代表する作家「田宮虎彦」氏が宿泊し「銀心中」を執筆したお部屋です。
小説家の気分で缶詰めになり仕事に没頭するのもよし、デジタルデトックスで自分と見つめあう方などにもお勧めなお部屋です。

花巻・冬のおすすめ|立ち湯が最も映える季節
花巻の冬は、温泉の魅力がいっそう際立つ季節。鉛温泉周辺は雪に包まれ、渓流と木立、湯気が織りなす景色は、まるで静かな一編の物語のようです。
❄ 冬こそ体験したい立ち湯
外気でひんやり冷えた体を、そのまま深い湯へ沈めると、39度前後のぬるめの源泉が驚くほど心地よく感じられます。雪景色を眺めながら立ったまま浸かる体験は、冬の鉛温泉ならでは。湯気、川音、静寂が重なり、時間の感覚がほどけていきます。
❄ 湯治×冬ごもりの贅沢
藤三旅館には、自炊をしながら長期滞在する「湯治部」が今も残されています。冬は外出を控え、
・一日に何度も湯に浸かる
・読書や思索にふける
・何もしない時間を楽しむ
そんな冬ごもり湯治がよく似合います。文人たちが長逗留した理由も、冬にこそ実感できるでしょう。

温泉マップで、あなただけの穴場の温泉を探してみよう
年末年始の旅も、何もしない休日も、目的地は「流行り」ではなく「湯の力」で選んでみてください。体を温め、心を整え、日常に戻る力をくれる一湯が、きっと見つかるはずです。名湯は、いつも少し静かな場所で待っています。
マップはユーザーが作る時代!ユーザー参加型のMAPアプリをダウンロード




コメント