みなさんは「湯治(とうじ)」という言葉をご存じでしょうか。
温泉に長期滞在して体調を整える、日本独自の療養文化です。観光で温泉に行くのも楽しいですが、昔から東北をはじめ日本各地では、病気や疲れを癒すために人々が湯治を続けてきました。
今回はその歴史と魅力を、宮城県の鳴子温泉を中心にご紹介します。
湯治とは?
湯治は1〜3週間ほど温泉地に滞在し、何度も入浴して心身を整えるスタイルです。ポイントは「自然治癒力を高める」こと。温泉の成分だけでなく、普段の生活から離れることで得られるリフレッシュ効果(転地効果)も大きな魅力です。江戸時代には農閑期に庶民が集い、長逗留しながら湯治を楽しんでいました。
鳴子温泉 (なるこおんせん)泉質のデパート
鳴子こけしで有名な宮城県大崎市の鳴子温泉は、日本でも有数の湯治場。なんと11種類ある泉質のうち9種類を体験できる「泉質のデパート」です。単純温泉から硫黄泉、酸性泉まで効能が幅広く、宿や浴場によってまったく違う湯に出会えます。湯めぐりの楽しさは鳴子ならでは。
学生が掘り当てた「早稲田桟敷湯」など、地域に根付いた浴場文化も魅力的です。
昭和23年夏に早稲田大学の学生7人がボーリング実習で掘削した温泉は注目ですね。
「農民の家」の誕生 戦後の鳴子に芽生えた農民の湯治文化
戦後間もない鳴子では、農民の暮らしは決して楽ではありませんでした。農地改革で土地を得ても、病気になればすぐに借金を抱えるような厳しい時代。そんな中で「農閑期に体を休め、せめてお風呂くらいは安心して入りたい」という思いが農民たちの胸にありました。
鳴子の豊かな湯に浸かりながら体を癒やし、次の季節に備えることは、まさに生きる力をつなぐ手段だったのです。現金での出資が難しい人は米を差し出し、互いに助け合いながら資金を積み立て、やがて保養施設「農民の家」が誕生しました。
鳴子の温泉は単なる娯楽ではなく、農家にとって希望と再生の場でした。貧しさや厳しさのただ中で、人々が温泉に込めた願いが、この地に独自の湯治文化を根づかせていったのです。
残念ながらその「農民の家」は現在閉館してしまいましたが、鳴子の湯治文化の中にその志は息づき、今も多くの温泉ファンに語り継がれています。
各地に残る湯治場
東北には他にも魅力的な湯治場が数多くあります。
青森の酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん)は硫黄泉と豪雪の風情が名物。岩手の大沢温泉は自炊部を備え、昔ながらの湯治スタイルを今も伝えています。熊本の地獄温泉や鳥取の三朝温泉もまた、全国から療養客を受け入れてきました。共通するのは、「体を癒やすこと」を優先した質素な環境が整っている点です。
温泉好きの人は肌がきれい?その秘密とは
秋田や岩手など北東北を旅すると「地元の人の肌がきれい!」と驚くことがあります。雪国の寒さや乾燥が厳しいはずなのに、なぜでしょう。その答えのひとつが温泉文化かもしれません。硫黄泉や炭酸水素塩泉など美肌効果のある泉質に日常的に浸かることで、角質ケアや血行促進が自然にできているのですね。
温泉が美肌づくりに一役買っているのかもしれません。もしかすると温泉が身近なの人々のつるつる肌は、温泉という天然のスキンケアの恩恵なのではないでしょうか。あなたも数日浸かれば、「あれ、私の肌、ちょっと艶っぽい?」と実感できるかもしれません。
岩手県花巻市大沢温泉の湯治部もオススメです!

まとめ
湯治は、単なる温泉旅行ではなく「心と体を整えるための時間」です。鳴子をはじめ全国の湯治場には、昔ながらの素朴な宿や、現代的にアレンジされたプチ湯治プランが残っています。温泉にゆっくり浸かる時間は、体だけでなく心をもやわらげてくれるはず。
観光でも健康目的でも、美肌のためでも。理由は何であれ、日本の湯治文化に触れてみれば、きっと新しい肌に出会えるでしょう
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